相続登記、預貯金の相続等の遺産整理

法務局在職中、所有者不明土地問題や空き家問題及び相続登記の促進に努めてきましたが、現状では相続登記を放置することのデメリットが十分に周知されていないと感じています。
相続登記を放置することのデメリットを記載しましたので、ご参考にしていただければと思います。

また、当事務所では、不動産の相続登記や預貯金や株式の相続(名義変更や解約等)のほか、遺産承継業務のご依頼をお受けしています。遺産承継業務サービスとは、相続が発生した場合に遺産分割協議を成立させて具体的に遺産を分ける必要がありますが、遺産を管理している相続人が高齢で取りまとめることができない場合、相続人が多くて取りまとめができない場合など、相続人間で争いが発生しているわけではないけれども、主導して遺産の分割協議の取りまとめができる相続人がいないなどの場合に、遺産相続や各種事務手続きなどにおいて公平中立な相続人全員の代理人として代行サポートを行う業務です

〇相続人が多くて取りまとめが自分では困難な場合、〇高齢であり、各種手続きを取りまとめることができないので専門家に依頼したい場合、〇相続人の中に認知症などで後見人の申立てなどの手続きが必要な場合など、司法書士に財産の相続事務を丸ごと担当してもらいたい場合など、まずは、お気軽にご相談ください。なお、相続税の申告が必要な場合の税理士事務所などのご紹介や、相続人間で具体的な争いが顕在化している場合の弁護士事務所のご紹介もいたします。

相続登記を放置することのデメリットについて

令和3年4月に、民法・不動産登記法等の改正法が公布されましたが、その内容には、相続登記の義務化、共有制度の見直しなどが含まれます。
なお、法律の施行時期については、原則として公布から2年以内とされていますが、相続登記の義務化等は3年以内(なお、相続登記の義務は、改正法の施行日より前に発生した相続にも遡及して適用されます。)とされています。
しかし、相続登記の義務化の有無に係わらず、相続登記を放置すると次のようなデメリットが生じます。

①相続不動産の処分や融資を受けることができない

相続人の数が大幅に増えたために遺産分割協議が困難となり、いざ不動産を売る必要や不動産を担保にお金を借りる必要が生じても、不動産を売れない、お金を借りられないなどのデメリットが生じます。

②法定相続人が大幅に増え、相続登記のコスト・費用が増大する

数次の相続が発生すると法定相続人が大幅に増えてしまい、いざ相続登記をしようと思っても、関係者への連絡調整などに手間がかかり、コスト・費用が増大します。
また、相続開始時は兄弟姉妹間の関係が円満であり、遺産の分割については問題ないと思っていても、登記をしないまま時が経って、いざ、登記をする必要が生じた際に他の兄弟姉妹の気持ちが変わり、遺産分割協議が整わなくなる場合もあります。
年月が経過し、兄弟姉妹の経済状況が悪化する場合もありますし、本来相続人でない兄弟姉妹の関係者(例えば兄弟姉妹の夫や妻、子どもなど)が口を出し、遺産分割協議がうまく進まない場合もあります。

③認知症を発症した人や行方不明者が生じた場合に遺産分割に支障が生じる

相続登記を放置している間に、相続人の中に認知症を発症してしまう人や行方が不明となる人が生じると、遺産分割協議の支障になります。
認知症を発症し判断能力を失う状況(意思能力を欠く状況)となると、遺産分割の協議が法律的にも実質的にもできないため、後見人を家庭裁判所に選任してもらって、後見人を相手に遺産分割の協議をする必要があります。
しかし、後見人の使命は認知症を発症した相続人(「被後見人」といいます。)の利益を守ることであり、後見人は認知症を発症した相続人(被後見人)に不利な遺産分割協議はでません。
よって家業の継承の観点から特定の相続人に特定の財産を相続させたい場合などにおいて、親族間での柔軟な内容の遺産分割協議ができるとは限りません。
また、行方不在者の場合についても、同様の問題が生じます。

④不動産の共有化により権利関係が複雑化する

一般的に、相続開始後に遺産分割協議を行わずに、不動産を共有関係にしておくことは権利関係を複雑化します。
相続手続きを放置した場合は共有者(法定相続人)が増大しますので、共有の状態が更に複雑化してしまい、様々な不都合が生じます。
(注)令和3年4月の民法改正により、共有物の変更・管理に関する規律の見直し、共有関係の解消に関する規律の見直しがされました。
しかし、共有物分割について共有者間の協議が調わない場合などは裁判によることになり、新設された所在等不明共有者の持分取得についても裁判によることになります。また、いずれも一定の制約があります。

⑤相続登記をしないと法定相続分以上の権利を第三者に主張(対抗)できない

遺言書で長男等の特定の相続人に法定相続分よりも多くの財産を相続させる。あるいは、特定の不動産を特定の相続人に相続させるとしていても、相続登記をしない間に、他の兄弟姉妹がその法定相続分を他人に売った場合は、長男は登記をしたその他人に対してその不動産は自分だけのものだと法的に主張(対抗)できません(民法第899条の2第1項。ただし、遺言執行者がある場合は、民法第1013条が適用される。)。
他の兄弟姉妹に借金(債務)があり、その貸主(債権者)が代位して法定相続分で相続登記をし、その兄弟姉妹の法定相続分について差押登記がされた場合も同様です。
したがって、遺言書がある場合も、相続登記を放置せずに速やかに登記をする必要があります。
なお、遺産分割協議が整ったが、登記を放置した場合も同様です。